新機能
本リリースでは、レンダリングパフォーマンスおよび高精度なコントロール機能の全体的な向上に加え、より高速化したレンダリング、イルミネーションキャッ シング、地形編集やEcoPainterの機能向上、EcoSystemの360°ポピュレーション、インタラクティブなEcoSystemポピュレー ション、そしてパーティクルと言った様々な重要な機能拡張を取り入れています。
In Short
|
|
自然景観の作成
Ecoパーティクル - Vueのパーティクルシステム
リリース11で、Vueはパーティクルを手に入れました。 しかしこれは一般的なパーティクルとは異なります。パーティクルのまったく新しいコンセプトなのです:
パーティクルが得意とする標準的な事象を表現することはもちろん、より多くのことが実現可能です。 パーティクルを生成するシンプルなエミッタを作成するというよりも、e-onsoftwareはDigital Natureに適したパーティクルの新しいハンドリング方法をデザインするアプローチを選択しました。それがEcoパーティクルです。
この新しいテクノロジは、動きのある雨や雪、滝、爆発、炎、煙、トルネード、落葉、虫の大群といったアニメーションを生成するのに理想的です。
EcoSystemのEcoパーティクル
Ecoパーティクルによる密林の霧
Ecoパーティクルは通常のEcoSystem質感レイヤーと同じように、あらゆる質感に追加することができます。 しかしEcoパーティクルの場合は、パーティクルが時間とともに放出される様子を緻密にコントロールすることが可能なのです。 速さ/方向/衝突のプロパティやパーティクルの寿命を定義したり、外的影響の対象とすることができます。
こうした新しい物理的な設定に加えて、パーティクルインスタンスのポピュレーションにはすべてのクラッシックEcoSystem設定パラメータを使用することができます。
Ecoパーティクルエフェクタ
エフェクタとは、シーン中のEcoパーティクルに影響を及ぼす特別なオブジェクトのことです。 トルネード、ジッタリング、アトラクションなどの効果を簡単に作成できます。
緻密なEcoパーティクルコントロール
Vue 11 Completeは、Ecoパーティクルの振る舞いをコントロールする豊富な関数のコレクションを提供します。 ある一つの「スーパー」パーティクルシステムを作成するために、複数のノードを組み合わせることが可能です。
ルートとなるパーティクルの振る舞いをベースにして、- たとえば花火、または地面に落ちると途端に水の撥ねを生成するような - パーティクルを生成するパーティクルを作成することも可能です。
物理的な正確性
Ecoパーティクルは、落下/衝突/跳ね返り、そして力やパーティクル同士の相互作用が可能です。 Ecoパーティクルは、質量/速度/引力/衝突/風の影響/弾性など物理パラメータにより、自然現象に反応します。
静止画に最適、アニメーションにぴったり
Youtubeで見る!
新しいEcoパーティクルテクノロジは静止画のレンダリングに大きな効果を生じるだけでなく、アニメーションにも非常に適しています。
Ecoパーティクルが時間に沿ってどのように変化するかは、サイズ変化/生長/不透明度変化/速度/フローなどのパラメータを使って簡単に設定することができます。 さらに、Ecoパーティクルがどのように消失するか、寿命は、あるいは他のEcoパーティクルに変化させるかといったことも指定が可能です。
それぞれのEcoパーティクルのライフパラメータは、より正確にエフェクトをコントロールするために、関数グラフから制御することができます。
エミッタプリセット
この新しいテクノロジの理解を助けるため、Vue 11 CompleteにはEcoパーティクルエミッタプリセットのサンプルがいくつか付属しています。
自動的な気象効果- 雨と雪
こうした新しい大気効果を使い、アーティストはマウスクリック一つで、穏やかな春の雨から熱帯性のストーム、静かに降る雪、ブリザードなどを瞬く間に作成することが可能になります。
強さ、形状、滴のサイズ、速さ、落下の確度などはユーザが設定することができます。
必要であれば、モーションブラーの追加も可能です。
気象効果はすべての大気タイプで利用できます。
雨と雪のワンクリックエフェクト
グローバルな雪質感レイヤー
新しいEcoPainter
EcoSytemペインター(EcoPainter)が、さらなるコントロールと柔軟性を実現するために生まれ変わりました。
エフェクタを組み合わせた、オリジナルブラシの作成が可能になりました。 これはたとえば、リサイズと整列を同時に実行するようなブラシです。
インスタンスの広がりや回転/持ち上げや引下げ/移動など、設定に使用することができる新しいブラシ効果が、あらかじめパレット上に用意されています。
カスタマイズ可能なEcoPainterブラシ
地形エディタのブラシのように、EcoPainter内の各ブラシにもそれぞれの設定ダイアログが用意されすべてのパラメータが調整できるようになりました。
EcoPainterのメインダイアログ内に特定のブラシパラメータを直接表示したいなら、対応したパブリッシュアイコンをクリックするだけで実現することができます。
選択ツールの統合
EcoSystem選択ツールは、EcoPainterに吸収されました。 これにより、EcoSystemペインターダイアログ内から直接、選択機能を使って編集対象のインスタンスを選択することが可能になりました。
EcoSystemテクノロジの拡張
EcoSystemの高速ポピュレーション
質感エディタから、新しいポピュレーションモードを利用できるようになりました。「高速ポピュレーションモード」と言います。 インスタンスの密度や縮尺、方向などの調整用の各パラメータの編集はポピュレーションに即座に反映され、ビューポート内で更新されます。
インタラクティブな360°ポピュレーション
Watch the video on Youtube
満足のいくポピュレーション状態が作成できたら、そのインスタンスをジオメトリ上に精密に配置するオプションを選択することも可能です。
EcoSystem 360° ポピュレーション
EcoSystemを、オブジェクトの下を含むあらゆる方向に自動ポピュレートできるようになりました。 この機能は、たとえば基本的な球体から複雑なジオメトリを持つ岩石や車、構造物まで、あらゆるオブジェクトに対して適用することができます。また、すべてのEcoSystem設定をサポートしています。
EcoSystemスタッキング
Vue 11 Completeは、EcoSystemインスタンスをスタックする機能を搭載しています。
この機能は、EcoSysmtemを質感エディタで設定している場合にも、またEcoPainter機能を使って生成している場合にも利用できます。
インスタンスの最大スタック数は、ユーザ定義が可能です。
EcoSystemのその他の改良点
- 落下/スマート落下オプションを使ってEcoSystemインスタンス上にオブジェクトを配置できるようになりました
- EcoSystemペインター設定(ブラシサイズ、フローなど)を質感単位で設定できるようになりました
- EcoPainterダイアログから直接、インスタンスカラーを戻せるようになりました
- ダイナミックロックやSolidGrowth植生から生成されたVOBファイルのバリエーションを、自動生成できるようになりました
地形テクノロジ
地形モデリングは、ユーザの皆さんからのフィードバックに応えるべくVueの強力な地形テクノロジの向上を維持するための、e-onの重要なR&D領域の一つです。
地形フラクタル2ノード
Vue 11 Completeは、オリジナル地形フラクタルノードの新バージョンを導入しました。
地形フラクタル2は自然な形状の高度な多様性を作り出し、岩や崖のでこぼこした土地の起伏をより自然につなぎ合わせることができます。 オプションの地層(Stratification)を適用することで単独の「地層フィルタ」ノードに近しい効果を得ることも可能ですが、いくつかのフラクタルの内部値のナレッジにより、より正確なコントロールと多様なバリエーションで、自然に見える局所的な効果を生成することができます。
地形カラーパターンノード
これは、自然の中に見られるような非常にリアルなカラーパターンの生成のためにデザインされた、新しいフラクタル関数ノードです。 このノードは一般に、質感エディタの関数を活用するために使います。
たとえば草で覆われた区画と岩地あるいは堆積した土の分布のような、滑らかさと粗さの変化の混じり合ったカラーを生成します。
地形エディタにおける質感の新しい取り扱いは、直接生成質感の強みと、ディテールをマニュアルペイントする能力を両立したもので、直接生成地形ゾーンとも互換性があります。
アルファチャネルのプレビジュアライゼーション
質感レイヤー(アルファチャネル)の存在を地形エディタ内で確認し、ペイントのマスクに使用することが可能です。
デュアルUVチャネル
UV摂動の精密なコントロールを実現するため、3Dスカルプト地形では二つ目のUVチャネルを利用することができるようになりました。
グローバル質感レイヤー
作成した質感レイヤーを、シーン内で共有することができます。 一旦共有された質感レイヤーは、シーン内の他の質感と簡単に関連付けられるのです。
質感レイヤーに加えられた変更は、共有された他の質感にも反映されます。複数の質感の編集が、同時に実行されるのです。
Spline Technology Improvements
スプラインはVue 10から搭載されたオブジェクトタイプで、EcoSystem効果や地形効果、道路やオブジェクトの作成などに使われます。 スプラインは、曲線を構成するポイントの連続を定義することで作成されます。 Vue 11Completeには、スプラインポイントの追加・削除・移動を初め、接線を設定したり、EcoSystemエフェクトやジオメトリエフェクトど様々な効果を適用するための、包括的なスプラインツールキットが付属します。 Vueで作成したスプラインは、自動的に地表に沿って配置されます。 Vue 11 Complete adds a number of technology improvements to the already existing Spline toolkit: EcoSystemエフェクトEcoSystemインスタンスを、スプラインの方向に沿って動的に整列させることができます。 またインスタンスの精密なコントロールのために、追加の回転/変動設定を利用することも可能です。 スプラインのロールローカル回転ギズモを使って、スプラインのキーポイントに回転を加えることができるようになりました。 この新しいツールは、たとえば道路やジェットコースターのレールなどのコーナーに沿って傾斜面があるようなスプラインの形状コントロールを向上します。 自動パスファインディングVueの自動パスファインディング機能を補完するものとして、Vue 11 Completeにはスプラインリサンプリング機能がつきました。 スプラインリサンプリングは、元々のスプラインパスを維持したまま新しいスプラインキーを作成し、それぞれのポイントを下層の表面にドロップします。 角のあるスプラインVue 11 Completetから、それぞれのスプラインキーポイントの操作に片側接線を使えるようになり、より複雑な形状を作成できるようになりました。 |
|
岩石
岩石凸性
自然界では、岩でも露出している部分はそうでない箇所と比べて、より風化などの外的な要因に晒されています。 新しい岩石凸性ノードにより、岩石の外観の変化を、たとえば汚れた内包物または磨かれたエッジを作成するように、実際のジオメトリに基づいて変更することができるようになりました。
非常に精密なコントロールと使いやすさ
比較機能を備えたレンダリングスタック機能
Vue 11 Completeには、新しい強力なレンダリング比較ツールが搭載されました。直感的なビジュアルツールを使って、レンダリング結果を簡単に蓄積し、オリジナルイメージをまったく損なうことなく様々なポストプロセスを適用した結果を比較することができるのです。
レンダリングスタックの改良
- スタック内の各レンダリング結果を、個別に削除できるようになりました。
- 画像の領域レンダリングやプレビューレンダリングは、自動スタックからオプションで除外することが可能です。
精密なコントロールと使いやすさに関するそれ以外の改良
- カメラの操作に、カメラマネージャが不要になりました: ワールドブラウザから、他のオブジェクトと同じようにカメラをコピー/カット/ペースト/削除することが可能です。
- 雲の操作を容易にする、グループ雲レイヤーダミー
- ビデオまたは連続イメージを、大気エディタの環境マップコントロールに読み込み可能
- 質感エディタで、すべての雲質感設定のアニメーション化(密度、雲の調整等)
パフォーマンスに関する改良点
より高速なレンダリング
目覚ましい内部的な最適化により、特に非常に高密度なEcoSystemシーンにおいてVueのレンダリングエンジンは劇的な速度向上を果たしました。 最大30%のスピードアップを満喫してください。
イルミネーションキャッシング
この新しいイルミネーションキャッシングは、建築プロジェクトシーンレンダリングの速さと品質を劇的に向上します。
間接照明をフレームごとに計算する代わりに、計算は最初に一回だけ実行されます。そして続くフレームではその結果を使用しながら新しく表示される部分を動的に更新していくのです。 こうしてより品質に優れ、より安定した間接照明ソリューションを提供します。
パフォーマンスに関するその他の改良点
- 関数エディタに、改良版のHLSノードを追加しました。 他のイメージ編集ソフトウェアとの一貫性を高めた出力を生成可能です。
- 影のパラメータ(影を落とす、影を受ける、影のみなど)をオブジェクト単位でコントロール可能になりました。
- マウスホイールを使った操作の取り消し/やり直しのメモリハンドリングの向上
- 特定のイメージビューワを設定ダイアログの操作タブから選択できるようになりました。
- マルチスレッドプロセッシングにより、スカイマップの書き出しが劇的に高速化しました。
- RenderCowのCPUアフィニティを、Windowsのタスクマネージャと自動で同期
- RenderCowをトレイアイコンから直接ポーズ可能に