Vue 9 xStreamの新機能
Vue 9には、ダイナミックなリライティングコントロール、高度な岩石生成機能、最先端の地形編集機能、レンダリングの全体性能が大幅に向上しより精度の高いコントロールを実現したEcoSystem 4などの、多数の大きな機能向上が含まれています。
こうした顕著な機能向上の中でも、大規模で高度のディテールに富んだ自然景観のレンダリングのために開発されたVue 9のアンチフリッカリング(ちらつき低減)アルゴリズムは、注目すべき新機能と言うことができます。
このような革新的なレンダリングテクノロジにより、この新バージョンのリリースは、Vueの活躍の場をマットペインティングから3Dフルアニメーションまで広げることでしょう。
主な新機能
自然景観の作成

EcoSystem 4
e-onの特許技術であるEcoSystemは、自然環境をCGで再現する手法に革命をもたらしました。 Vue 9ではこの先進のテクノロジがさらに大きく進化し、過去のバージョンにあった様々な制限を取り去ることに成功しています:
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Vue 8とVue 9のちらつきの比較
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ちらつきの低減
高密度なEcoSystemを遠くから見た場合、ピクセル単位のディテールが膨大な量にのぼるため、ちらつきを除去するには莫大なアンチエイリアシングが必要になります。 その結果として、アニメーションシーンのレンダリングには膨大な時間が掛かっていました。
ちらつきの低減は、e-on softwareが特に力を入れている分野の一つであり、 この研究の成果としてVue 9の新しいちらつき低減アルゴリズムが誕生しました。このアルゴリズムを利用すると、従来と同程度のレンダリング時間でほとんどのSolidGrowth EcoSystemのちらつきを劇的に軽減することが可能になります。
ダイナミックEcoSystem
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散布密度のアニメーション
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ダイナミックEcoSystemの処理方法も劇的に改善しています。動きのあるエレメントをより少ないメモリで生成でき、最適なレンダリング結果が得られるようになりました。
これにより、どんなに広大な植生の分布を作成しても、楽にレンダリングすることができるようになりました。 兆を超えるポリゴンを持つシーンも問題ではありません。
EcoSystemポピュレーションのアニメーション
時系列に沿って滑らかに変化する個体分布(ポピュレーション)密度の変化を伴ったEcoSystemを作成することができます:密度の変化に応じて、新しいインスタンスの追加・削除が滑らかに行われます。
ハイパーブロブテクノロジ

Vue 9から新しく追加されたハイパーブロブテクノロジを使うと、HyperTexture付きのメタブロブを、HyperTextureならではの精度とディテールを保持したまま、ポリゴンメッシュに変換することができるようになります。 こうして作成されたポリゴンメッシュは、標準的なディスプレイスメント・アルゴリズムで変形させることが可能です。
ハイパーブロブテクノロジのおかげで、生成されるメッシュのサブディビジョンの最大レベルを定義することができるようになります。またレンダリング時間とリソースをその距離に応じて最適化するため、ディテールのすべての中間レベルは自動的に処理されます。
新しいハイパーブロブ・テクノロジなら、メインのオブジェクト (標準のハイパーテクスチャで作ったもの) から離れたハイパーテクスチャの一部を、自動的に「削り取る」ことができます。
例えば、ハイパーブロブは表情豊かでディテールに飛んだ岩の層を作成するのに理想的です。
ロッキーマウンテンフラクタル
ロッキーマウンテンフラクタルは、地質学の第三紀に関係した地形特性を生成するタイプの新しいフラクタルです。
このフラクタルを利用して作られた地形特性は、完全にユーザ調整が可能です。 このフラクタルは、他にも質感の分布のコントロールや外見の幅広い変化の生成にも使うことができます。
地形エディタの改良
雲のラジオシティ

白い雲は、近隣のオブジェクトに大量の光を反射します。 Vue 9は、間接光を計算する際にこの効果を正確に取り扱うことが可能です。
その結果として雲を含んだシーンの間接光が正確にシミュレートされるようになり、よりリアルなイメージを表現できるようになりました。
その他のシーン作成のおける改良点
- 混合質感をレイヤーとして使用
- 実際の地形サイズと矛盾しない地形エディタ高度
- ゾーン抽出時に、元になる地形にオプションで空白を作成
正確で高度なコントロールと使いやすさの両立

リライティング
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インスタントポスト
レンダリングリライティング
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シーンのライティングの細かな調整には、これまではほんの小さな変更でもその都度レンダリングをし直さなければならず、そのために膨大な時間が掛かっていました。しかし、もうその必要はありません。
Vue 9のリライティング・テクノロジによって、レンダリング後のシーンでも、自由に照明の調整ができるようになりました。光源の強さや色を変更すると、その結果はリアルタイムでシーンに反映されます。
壁のスイッチを切り替えるように、簡単にライトのオンオフができるのです。 なんと、シーンに対する太陽光の影響さえも調整が可能です。
さらに素晴らしいことに、この驚くべき新テクノロジはすべてのVueライトのオプションと互換性があり、サブサーフェススキャタリング、コースティクス、レンズグレア、レンズフレアなどの各種効果で利用することができます。
インバースキネマティクス(IK)
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インバースキネマティクス(IK)
Vue 9のリグメッシュサポート機能に、インバースキネマティクス(IK)が加わりました。
例えばリグメッシュで作成したキャラクターの腕を引っ張ってみましょう - するとその引っ張りに対してIKソルバが自動的にボディ全体の位置を調整します。
ColladaのIK情報は、Vueのリグメッシュフォーマットに変換される際に自動的に読み込まれます。
インバースキネマティクスのおかげで、Vueシーンに含まれるキャラクタのポージングをより正確且つ簡単におこなうことが可能です。
カスタムインターフェース
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トップレベルパブリッシング
Vueの強力なパラメータパブリッシング機能が大幅に拡張され、トップレベルインターフェースの作成が可能になりました。 シンプル化されたハイレベルコントロールを作成し、こうしたコントロールには質感エディタ、地形エディタそしてオブジェクトエディタなどから自由にアクセスが可能です。
これにより、関数エディタを開くことなく関数グラフの能力を利用することができるようになります。
トップレベルパラメータは、パブリッシュ済み質感パラメータを含め、タイムライン経由でアニメーション化が可能です。 この機能は、質感アニメーションに従来考えられなかった自由を与えるでしょう。
インターフェースデザインの刷新
Vue 9には、既存パイプラインに自然に溶け込むような、新しいインターフェースデザインが装備されています。
新しいインターフェースだけでなく、Vueのトップビューとメインビューには新しい無限適応グリッドが表示されるようになりました。 グリッドは、あらゆるズームやカメラ高度、パンポジションで表示されます。
この機能には、様々なスケールでのラインの間の現在の距離を表示するスケールバーが付属しています。 グリッドのスケールは、内部単位の等倍、5倍、10倍の3段階から選択することができます。
正確なコントロールに関するその他の改良点
- 質感、地形、雲のパターンをワンクリックでランダム化する「ランダム化ボタン」
- 高速でより効率的なEcoSysytemのプレビュー
- 高精度なリアルタイムOpenGLの太陽光の影
- マウスホイール使用時の、オブジェクトから遠ざかるカメラの段階的な動き
- ズーム倍率によってスケールが変化する適応グリッド
- より詳細なグリッド表示・分割オプション
- ビューの中心ではなく、マウスポインタに向かってマウスズームを実行
- ナッジングステップがズーム倍率に比例:非常に高精度なズームインの実現
- 任意の大きさの大気を持った惑星のレンダリング
- ワールドブラウザに、選択されたオブジェクトの質感のみを表示するオプション
- 質感エディタで質感アニメーションを禁止するオプション
- タイムライン上に質感を表示するオプション(例:パブリッシュされたパラメータのアニメーション化)
- プロパティキーフレームを、プロパティタイムラインやカーブのダブルクリックで追加
- オブジェクトに適用されるサブディビジョンレベルの上限設定が可能
パフォーマンスの向上

自動保存とシーンスナップショット

数分前までのシーンの状態に戻したいが保存していなかった、なんてことはありませんか? または、何時間もかけてシーンを作り上げたのに、保存する前にシステムがクラッシュしてすべてが失われてしまった、なんていう経験は? もう大丈夫です。Vue 9には自動保存機能が付きました。
スマート保存
とはいえ、創造力がばんばん溢れ出ているときに、自動保存によって作業が中断されてしまってはイライラが募ります。 そこでe-on は、ユニークにして革新的な自動保存テクノロジを開発しました。シーンは作業中にバックグラウンドで保存されるため、作業の流れを阻害することがありません。
使い方は簡単です。自動保存の間隔を設定すれば、Vueが自動的にシーンのバックアップを作成します。
元に戻す
バックアップファイルは、アプリケーションメニューから直接読み込めます。 これでひとつ前に保存したシーンが復元され、それ以降の作業を取り消すことができます(取り消し/再実行コマンドの回数制限とは関係ありません)。
スナップショット
新しく追加されたスナップショット機能を使うと、ボタンをクリックするだけで即座にシーンのバックアップが作れます。 自動保存と同じく、アプリケーションメニューからスナップショットで保存したバックアップファイルを読み込めば、すぐにその時点へ戻すことができます。
インタラクティブネットワークレンダリング
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インタラクティブネットワークレンダリング
インタラクティブネットワークレンダリングにより、ネットワークレンダリングは透過的なものになりました!
インタラクティブネットワークレンダリングでは、Vueでのレンダリングが遅延なくごく自然に開始されます。 Vueがレンダリングをしている間、インタラクティブネットワークレンダリングコントローラがネットワーク上のすべてのレンダリングノードと自動的にコンタクトし、作業を分割して配分していきます。 この処理は、メインのコンピュータがレンダリングを続けている間バックグラウンドで継続されます。 ネットワーク上の他のコンピュータがレンダリングに参加するほどレンダリング処理は速くなります。コンピュータの台数が増えたからと言って、メインのコンピュータがその処理のために遅くなったり、反応を待つために止まってしまったりすることはありません。
高度なキャッシングテクノロジ
インタラクティブネットワークレンダリングは、ネットワークのトラフィックを最小限に抑える高度なキャッシュテクノロジに支えられています。 このキャッシングテクノロジのおかげで、連続したレンダリング作業を非常に高速に開始することができるのです。
ネイティブCocoa

Appleの最新のMac OS Xの性能を最大限に活用できるように、Mac版のVue は根本から作り直されました。
これにより、Macでは64ビットでネイティブに動作するようになりました。 最大の改善点はより多くのメモリの使用が可能になったこと、そしてパフォーマンスの面でCarbon 32バージョンと比較して最大で3倍の高速化を果たしたことです。
レンダリングの改良
ちらつきの低減
e-on softwareが開発した、Vue 9の新しいちらつき低減アルゴリズムをご紹介します。 このアルゴリズムは、信じられないほどちらつきの少ないアニメーションのレンダリングを実現します。これにより、Vueは自然景観アニメーションのレンダリング・ソリューションとして、さらに一歩先を行くことになりました。
半透明質感
薄い半透明の質感や、後ろからの光を受けている質感のレンダリングは、よりリアルな影を落とすように改良されました。 また、これらの効果は間接照明の計算にも組み入れられるようになりました。
パフォーマンスに関するその他の改良点
- 内部のリファクタリングにより、レンダリング速度の最大30%の向上
- 新しいシャドウイングアルゴリズムによる、地形とメッシュに発生するシャドウノイズの低減
- 改良されたバイキュービック補間による滑らかな階調表現
- 警告トリガとなるEcoSystemポピュレーション閾値の手動調整
- 更新をバックグラウンドでダウンロード
より深い相互運用性

HDRマルチパスレンダリング
Vue 9は、High Dynamic Rangeで、全てのオブジェクト・雲・レイヤーマスク・レンダリングコンポーネント・影・反射・大気の影響等、すべての要素のマルチパスレンダーを生成します。
マルチパスレンダリングの結果は、それぞれのパスをHDRフォーマットに保持したEXR32ビットファイルとして書出すことが可能です。
実単位

質感エディタ、地形エディタ、関数エディタなど、アプリケーション全体を通して、実在単位を使用できるようになりました。 慣れ親しんでいる単位を使ってフラクタルを拡大縮小したり、現実世界の単位を使って地形の大きさを測ることができます。複雑な単位の換算は、すべてVueにお任せください。
自動範囲適応
自動範囲適応機能が追加されたことで、外部から読み込んだパラメータを含む関数グラフの生成が簡単になりました。 外部から読み込んだパラメータにノードを接続すると、入力範囲は、そのパラメータの標準範囲に収まるように自動的に調整されます。
Catmull-Clarkサブディビジョン
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Vueのポリゴンサブディビジョン方式にCatmull-Clark(カトマルクラーク)法とLoop(ループ)法が加わり、他のアプリケーションとの互換性が高まりました。 リアルタイム表示とレンダリング時間の両方で、サブディビジョンレベルの手動調整が可能です。
これらの新しいサブディビジョンアルゴリズムは、法線マッピングの改善と合わせて、3ds Max、MudBox、ZBrushといった他の3Dアプリケーションとの互換性を高めることでしょう。
テクスチャ管理
外部から読み込んだ高品位ビットマップを多く含むコンテンツを扱う際には、テクスチャマップの管理が特に重要になります。 Vue 9では、そんなテクスチャ管理の機能が大幅に向上しました。
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テクスチャのサイズ変更
ワールドブラウザの新しいオプションによって、大きすぎるテクスチャマップを簡単にリサイズできるようになりました。 このプロセスはノンディストラクティブなため、調整したテクスチャマップは必要に応じていつでも元に戻すことが可能です。
また、他のアプリケーションからコンテンツを読み込む際に、テクスチャマップサイズの上限を設定することもできます。
テクスチャの表示
ワールドブラウザ上でテクスチャマップをダブルクリックすると、予め選択した外部アプリケーションを使ってビットマップのフル解像度イメージを表示させることができます。 見つからないテクスチャは、リンク切れとして示されます。
テクスチャダンプ
プロジェクトで使用しているすべてのテクスチャのダンプを作成し、任意のフォルダに保存することが簡単にできます。また自動的にリンクを張りなおすことも可能です。 こうした機能は、様々なアセットを含むシーンを複数の作業者の間で共有する際に大変役立ちます。 また、使用しているビットマップアセットを特定のネットワークロケーションにまとめておくことで、ネットワークレンダリングの処理速度の向上にもつながります。
そのほかの改良点
- 複数のPoser読み込みSDKをサポート
- 桁数の多い数値を含む編集フィールドの、入力値に応じた自動サイズ調整
- オブジェクト毎の高度を-1から1の間の値で生成するように高度ノードを改良
- 勾配を-180から180の間の値で表示
- 関数エディタへの新しい演算ノードの追加
- HDTVレンダリングプリセットの追加
- レンダリング解像度選択時の、カスタム縦横比のロックオプション
- ワールドブラウザ内での、閉じているものも含めたレイヤの自由な上下移動
- 3ds MaxでのEcoSystemプレビューの高速化
Vue 8.5からの新機能

次のページにはVue 9に含まれる、Vue 8.5で追加された新機能を記載しています。
こうした機能についてすでにご存知の方はこちらのページに移動されてもよいでしょう。