この「メイキング・オブ」は、毎週お一人の Vue コミュニティメンバーにスポットライトを当てるページです。 世界中でたくさんの人々が、Vue の製品ラインを使って素晴らしい作品を紡ぎ出しています。そんな皆さんに作品の作り方を解説してもらい、ノウハウを共有できれば、というのが、このページの狙いです。

私たちは、いろいろな物事に触発されます。日常よく見るありふれたものも、違う角度から捉えてみると刺激的に見えるものです。 旅先で目にした心に残る風景や、ときには 1 冊の本から、発想が広がることもあります。 今週お迎えする Yoro 氏は、あるスペクタクル映画にヒントを得て、自分なりの異世界を作ってみようと思ったそうです。

 

メイキング・オブ "Nighttime at Pandora"(パンドラの夜) by Yoro

映画「アバター」を観て息を飲むような景色に感銘を受けた私は、自分でもあんな世界を Vue で作ってみたい、せめてチャレンジだけでもしてみようと思いました。 最初にとりかかったのは、衛星パンドラの密林づくりでした。時間設定は夜です。

 
シーンの鍵を握るのは、青く霧がかった大気だと考えました。いろいろと試しましたが、Robin Kleb の The Sky Is My Canvas で最良の結果を得ることができました。 霧ともやの色に少し手を加え、雲の設定をいろいろと変えて、イメージに近づけていきました。 地面の質感は、水面の質感に変換しました。Shasta-texture のバンプです。

次にとりかかったのは、前景を横切る太い枝づくりです。 この作品のアイキャッチャーだと考えていたので、もっとも注意を払いました。 はじめは ZBrush を使って、細部までモデリングで作りこみ、とても見栄えのよい枝ができたのですが、Vue に読み込んでみたら、ポリゴンを減らしてもリソースの半分を取られてしまうことがわかりました。 これでは話になりません。別の手段を考える必要がありました。

そこで、いろいろな形の岩や石に変形とリサイズをかけて、ひとつながりにしてみたところ、とてもいい形になりました。 次に、Genetica で作成した樹木のテクスチャを読み込み、Vue で色相を青/紫に傾けました。 イメージどおり。完璧です。

次に、枝の表面や下のほうに植生を生やして、衛星パンドラ風の色に調整しました。

ここで EcoSystem ペイントの登場です。 枝はびっしりと苔で覆われているというのが、私のイメージでした。 それを再現するために、Martin Frost のSacred Bamboo を読み込み、極端に縮小して、ニュアンスの違ういろいろな青で塗り重ねていきました。普通の青、ターコイズブルー、青緑、紫がかった青、などなど。 バランスのよい配色と分布ができるまでには、結構な時間がかかりました。

さらに、いろいろな植生を全体に配置しました。

これで、前景の作業はだいたい終わりです。 色の微妙なバリエーションを強調するために、弱い点光源をひとつ配置しました。

さて、ここで、PC に負担をかけずにいかに背景を充実させるかという、新たな難関が立ちはだかりました。 はじめに、滝のある大きな山を置いてみましたが、あまり美しくありませんでした。 けれども、『山』というアイデアそのものは悪くないと思ったので、部分的に残しました。

その後、偶然にも Tomas Aceytuno 氏の Mystical Trees という素晴らしいパッケージに出会いました。これぞまさに、この作品の背景に求めていたものです。 配置してみると、私が心に描いていたとおりの光景として、シーンがたちまち息づき始めました。

ここで再び、EcoSystem ペイントを使って、新しく配置した木に苔をまぶしていきました。

背景の仕上げに、大きな植物を配置して空間を埋めました。 完成まであと一歩です。私の夫は、最終バージョンよりもこちらの方が好きなんですって。

でも私は、なにか生き物がいたほうがステキだと考えました。 この時点で、リソースは 46% でした。これだけの植生や環境を配したわりには、優等生の数字だと思います。 おかげで、Poser フィギュアを読み込むことができました。 前もって作っておいた戦士ナヴィを Vue に読み込み、オブジェクトとして保存しましたが、それでもやはり、リソースは 12% まで減ってしまいました。レンダリングに問題が出なくてよかったです。

画像サイズは 1200 x 900 で、グローバルアンビエンス照明モデルを [スペリオール] でレンダリングしました。 かかった時間はおよそ 1 時間です。 最初はグローバルイルミネーションでレンダリングしてみたのですが、時間がかかるわりに、出来上がりの画質にはそれほど差がなかったのです。

完成画像はこちらです。ぜひ、クリックしてフルサイズでご覧ください。

私の作品に関心を持ってくれてありがとう。ハッピーレンダリング!

Yoro